
老朽化による建て替えで来年度に解体する中野区立第七中学校(中野区江古田2)の校舎などを3Dデータで保存するプロジェクトが始動し、その撮影が8月26日に行われた。
七中の校舎は築76年(1949年竣工)で、来年度に取り壊すことが決まっている。「中野区立小中学校施設整備計画(改定版)」などに基づき、令和小学校跡施設(旧上高田小学校)を工事期間中の代替校舎として使い、現在と同じ敷地に新校舎を整備する計画。七中PTA会長の相川梓さんは「たくさんの思いが詰まった大切な校舎を多くの方に見てもらえる方法を考えていたところ、私が勤める構造計画研究所の『NavVis』を使えるのでは、と思いついた。担当者に相談したところ、快諾をもらえたのでアーカイブに踏み切った」と話す。
3Dデータの撮影とアーカイブは構造計画研究所(本町4)が協力した。NavVis社製の「VLX 3」を使って撮影し、3Dデータ・ウェブビューワー「IVION」で見ることができるという。
構造計画研究所の沼波靜男さんによると「『IVION』はただ単に写真を見るだけでなく、点群(たくさんの点が集まってできた3次元のデータ)でも見ることができ、設備の長さや教室の大きさなども測ることができる。ビューワー上に付箋紙のようなタグを貼ることもできるので、ここが何の教室かなどの案内、思い出の写真や動画、文書なども一緒に共有できる」という。
七中の上村諭校長は「校舎がなくなるという話を聞いた地元や遠方にお住まいの卒業生から、ただただ校舎内を見たい、あの時の校舎がどうなっているのかを知りたい、歩きたいという電話を頂く。実際に要望を受けて夏休み期間中、2つの卒業生の団体の方が校舎に入っていただく機会を作った。在校生がいる中で、いつでもどこでも校舎に自由に立ち入ってもらうのは難しいし、全ての卒業生全員を招待して、限られた日に歩いてもらうのは難しい。今回、縁あってデータ化できる方向なので、高齢の方、遠くの方々にも校舎を見てもらえる。校舎を見ると、思い出すことがたくさんある。『この教室の傷を付けたのは俺』みたいな思い出に浸ってほしい。バーチャルの中で、思い出話に花を咲かせてもらえたらうれしい」と話す。
完成したデータの公開方法などは、来年春ごろに七中のホームページなどで案内する。