新中野駅近くの杉山公園南側にある公衆浴場「銭湯 旭湯」(中野区本町6)の解体工事が3月15日、始まった。
同銭湯は1949(昭和24)年に創業。1962(昭和37)年には唐破風作りの現在の建物に建て替え、2007年には2年後の2009年に他界した伝説の銭湯背景絵師・早川利光さんが浴室の富士山(タイトル=西伊豆)を手掛けて話題となり、中野浴場組合が主催する「お風呂屋さんめぐり」イベントでも人気銭湯の一つとなっていた。
2代目店主の栢野省吾(かやのせいご)さんは「妻が昨年末に亡くなり、銭湯の運営が厳しくなった。最近は銭湯を利用する人が年々減り、廃業することにした」と話す。
利用者からは「この昭和の雰囲気の銭湯はなかなかない」「ここの富士山のお風呂に入れなくて残念」「番台や靴箱が大好きでした」「千鳥破風や唐破風のフォルムが最高」「女湯の声が聞こえるのが銭湯らしかった」「お釜型のドライヤーが時代を感じられた」などの声が聞かれた。「もう一度富士山が見たい」「取り壊されてしまう前に写真に納めたいが何とかならないか」というメールも中野経済新聞編集部に届くほど。
栢野さんによるとすでに始まっている解体部分はコインランドリー部分のみで、建物の解体はまだ決まっていないという。栢野さんは「閉じてから、みんなに愛されていたと実感している。要望があるのであれば、3月30日と31日は鍵を開けるかもしれないので、開いていたら写真を撮って頂いても構わない」と話している。