東中野の「レパートリーシアターKAZE」(中野区東中野1、TEL 03-3363-3265)で2月21日から、東京演劇集団風の新作公演「ダンゼン・鉄はいくらか-豚から生じないすべて…」が行われる。
同劇場はは同集団が1999年に建設した自前の劇場。同劇団は繰り返し同じ演目の上演を重ね、観客との対話の中で質の高い舞台を育てていくことを目的として、「レパートリーシステムの劇場」を掲げている。
過去にベルトルト・ブレヒト作品を上演し続けてきた同劇団は、第二次世界大戦勃発の直前に亡命中のブレヒトが書いた「ダンゼン」と「鉄はいくらか」の2作品を1本として構成した実験的な新作に、フランスのマントゥール劇場と共同で取り組んだ。
演出は江原早哉香さん、構成はマントゥール劇場の芸術監督フランソワ・シャファンさん。第二次世界大戦勃発までのドイツの強引な外交政策と北欧諸国が屈服していく過程を見たブレヒトは、ダンゼン(=デンマーク)やスヴェンソン(=スウェーデン)、他国者(=ドイツ)など、登場人物を擬人化した2つの政治的な寓話(ぐうわ)を描いた。今回、原作にない「語り手」(セリーヌ・リジェ)を登場させ、歌、詩などによって2つの物語を往(い)き来しながら観客、俳優、人間、世界、去りゆく時間に問い掛けていくという内容。
演出の江原さんは「ブレヒトの生きた暗い時代を直視すると共に、暗闇の中で小さな光を見つけられる可能性を示すことを希求し、演出したい」と話す。昨年、浅野佳成さん脚本によるカミュの「異邦人」を共に手掛け、叙事的上演の新たな可能性を見いだしたマントゥール劇場と共に、ブレヒト作品の持つ現代性や問題喚起力を発見し、探求している。
チケットは、大人(当日券)=4,000円、学生=3,300円。平日は19時開演、土曜・日曜は14時開演。前売り券の価格やチケット購入方法など、詳しくは同劇団オフィシャルサイトで確認できる。2月25日まで。