見る・遊ぶ

写真家・頭山ゆう紀さん、新井薬師前駅近くの「スタジオ35分」で個展

頭山ゆう紀さんの作品

頭山ゆう紀さんの作品

  • 13

  •  

 写真家・頭山ゆう紀さんの写真展「In fog」が1月22日、廃業した写真館をリノベーションしたギャラリー&バー「スタジオ35分」(中野区上高田5)で始まる。

(関連フォト)ギャラリー「スタジオ35分」

[広告]

 頭山さんは1983(昭和58)年、千葉県生まれ。東京ビジュアルアーツ写真学科卒。「生と死」「時間や気配」など目に見えないものを写真に捉えるといい、自室の暗室でプリント作業を行い、時間をかけて写真と向き合うことで時間の束や空気の粒子を立体的に表現するという。主な出版物に「境界線13」(赤々舎、2008年)、「さすらい」(abp、2008年)、「THE HINOKI Yuhki Touyama 2016-2017」(THE HINOKI、2017年)、「超国家主義-煩悶(はんもん)する青年とナショナリズム」(著=中島岳志、写真=頭山ゆう紀、筑摩書房、2018年)など。

 頭山さんは「榛名湖アーティストレジデンスに滞在する直前に母が突然亡くなった。普段通りに過ごして多様な場面で母を思うより、環境を変えて生活した方が心をごまかせると思い、母の死を受け入れないまま滞在を始めた。榛名湖は霧が広がる静かな景色だった。榛名湖には木部姫や渋川公夫人が入水(じゅすい)し大蛇や竜になるという伝説がある。湖の中の生と死の間のようなものが見たいと思い、水中カメラで湖の中を撮影した。ネガ現像、暗室でのプリント作業と時間をかけて写真と向き合い、湖の中を立体的に粒子で表していく。写真は目に見えない気配を写し、母の不在を現実にする。時間はただ過ぎていき、母との記憶は鮮明になる。榛名湖の霧の中、湖を眺めながら母の不在と過ごした」と振り返る。

 同ギャラリー店主の酒航太さんは「2023年に群馬県立近代美術館で発表されたこの作品は、群馬県にある榛名湖で撮影された。古くは『万葉集』『古今和歌集』の中で『伊香保の沼』として詠まれた榛名湖は、多くの和歌や文芸作品の題材になってきた。湖畔には『御沼おかみ神社』が祭られていて、これは戦国武将の妻が榛名湖に入水して転生した龍神(または蛇神)を祭っているとされている。この神社の近くに1カ月ほど滞在していた頭山さんはこの伝説に引かれ、榛名湖の水中の撮影を行った。滞在先に暗室を設け、そこで自家現像・プリントをしながら出来上がったのが、これらの作品。美しい蛇腹製本の写真集としてもまとめているので、ぜひ手に取ってご覧いただければ」と話す。

 開催時間は16時~22時。日曜・月曜・火曜定休。入場無料(要1ドリンクオーダー)。2月22日まで。初日19時からはオープニングレセプションを予定する。

エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース