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中野・写大ギャラリーで写真家・細江英公さん追悼写真展「写真への愛と尊敬」

細江英公さん追悼写真展のメインビジュアルを掲げた「写大ギャラリー」エントランス

細江英公さん追悼写真展のメインビジュアルを掲げた「写大ギャラリー」エントランス

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 昨年9月に亡くなった東京工芸大学(中野区本町2)芸術学部の元教授で写真家・細江英公さんの追悼写真展「写真への愛と尊敬」が4月7日、同大芸術情報館(5号館)2階「写大ギャラリー」で始まった。

(関連フォト)芸術情報館(5号館)入り口

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 細江さんは1974(昭和49)年に東京写真短期大学(現・同大)の教授に着任し、2003(平成15)年までの29年間、同大で教鞭(きょうべん)を執った。同ギャラリーは1975(昭和50)年、細江さんの発案によって、日本初のオリジナルプリントを収蔵し、展示を行う常設施設として設立されたという。今年設立50周年を迎え、1万2000点を超える作品を収蔵しているが、設立から定年退職するまでの30年近くは、細江さんが中心となって運営を行ってきたという。

 細江さんは1933(昭和8)年山形県生まれ、東京育ち。1952(昭和27)年に東京写真短期大学に入学し、学生時代から前衛芸術家の瑛九(えいきゅう、1911-1960)が中心となって結成した既存の美術団体の権威に挑む、自由と独立の精神を尊重する若い芸術家集団「デモクラート美術家協会」に参加。卒業後はフリーランス写真家として活動し、1959(昭和34)年、新進気鋭の写真家と共に写真エージェンシー「VIVO」(ヴィヴォ、エスペラント語で「生命」の意)を設立。1960年代から70年代にかけて、男女の性と肉体をテーマにした「おとこと女」、小説家の三島由紀夫(1925-1970)を被写体とした「薔薇(ばら)刑」、生地であり戦時中の疎開先でもあった東北を舞台に、前衛舞踏家の土方巽(ひじかたたつみ、1928-1986)を被写体とした「鎌鼬(かまいたち)」、男と女の抱擁の強さと優しさを視覚化した「抱擁」などを生み出す。2003(平成15)年には英国王立写真協会から「生涯にわたり写真芸術に多大な貢献をした写真家」として特別勲章が授与。2010(平成22)年には写真家として4人目となる文化功労者として顕彰され、2017(平成29)年には旭日(きょくじつ)重光章を受章した。

 同大の勝倉崚太准教授は「タイトルの『写真への愛と尊敬』は、細江さんが大学教授として、学生に度々口にしていた『写真に対して真摯(しんし)に愛と尊敬を持っていればおのずと行動が決まる。そうすれば写真によって人生をより良い方向に切り開ける』という言葉から。同展では細江さんのモノクロ・カラー写真作品約50点を展示する。

 開館時間は10時~19時。入場無料。木曜・日曜・祝日休廊。6月7日まで。

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