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明治大学の山脇ゼミが中野区職員向けに多文化共生研修 「やさしい日本語」講座も

「多文化共生についての概論」を話す明治大学国際日本学部山脇啓造教授

「多文化共生についての概論」を話す明治大学国際日本学部山脇啓造教授

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 明治大学中野キャンパス(中野区中野4)を拠点としている国際日本学部山脇啓造教授の山脇ゼミが1月7日、中野区職員研修センター(新井2)で区職員に対して「多文化共生研修」を行った。主催は中野区区民部区民文化国際課。

(関連フォト)山脇教授(写真右)とワークショップを進めた13人のゼミ生

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 2018(平成30)年度から「やさしい日本語」の普及啓発活動に取り組んでいる山脇ゼミ。「やさしい日本語」は、日本語の難しい言葉を簡単な言葉や表現に言い換えるなど、特に外国人に配慮した分かりやすい日本語のこと。2020年11月には「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン」の内容を分かりやすく解説する動画を制作。その動画制作に豊島区の多文化共生担当者から助言をもらったことをきっかけとして、昨年12月に豊島区職員を対象とした「やさしい日本語」研修を行った。その評判を聞き付けた文化国際交流担当課長の矢澤岳さんが山脇ゼミに打診し、今回の研修が実現したという。参加者は区の各部から3人ずつ希望者を募り、24人の申し込みがあった。当日は23人が参加した。

 研修の冒頭であいさつをした酒井直人中野区長は「中野区として外国人にどのような対応をしていくのか、区政の大きな課題。多文化共生のジャンルでは日本一のこの山脇ゼミの皆さんから大いに学んで業務に役立てていただきたい」と話した。

 第1部の山脇教授による「多文化共生についての概論」では、多文化共生や外国人住民、自治体や国の取り組みの紹介、通訳タブレットの活用や外国人向けの生活ガイドブックなどに中野区が取り組んでいること、日本語教育推進法や入管庁有識者会議の意見書などにも触れ、さまざまな角度から多文化共生推進の必要性などを説き、現在取り組んでいる「やさしい日本語」の実績なども紹介した。

 第2部は山脇ゼミ生による「やさしい日本語」ワークショップ。司会は4年の塚田百音(もね)さんと3年の盛永樹(いつき)さんが担当した。実際の問答の事例をゼミ生が演じるなどして「やさしい日本語」の説明を行った後、研修参加者とゼミ生が同席する形でテーブルが組まれ、病院の場所を聞く、ごみの出し方を聞く、国民健康保険の加入方法を聞くなど、質問する外国人と答える日本人のシチュエーションを想定した問答ワークショップが行われた。

 研修に参加した戸籍住民課の女性は「外国人と接する窓口があるが、やはり意識して日本語を使わないといけないと思った。普段は難しい言葉を使っているんだなと。イラストを使って説明すると分かりやすいことも学んだので活用していきたい」と話す。防災危機管理課の男性は「防災行政を行う上で、現在ハザードマップなどを外国人向けに用意しているが、実際の災害時に迅速に外国の方に意図や防災行政を理解いただくためには、書き言葉ではなくこのような会話についても理解を深める必要がある。尊敬語や謙譲語を使わない、頭に『お』を付けないことや、一文一文区切るなど、なかなか行き届いていないと感じた。今日の学びを業務に役立てていきたい」と話した。

 山脇教授は「国際日本学部が中野キャンパスに移転した2013年以来、山脇ゼミは中野区と連携して、地域の多文化共生に取り組んできた。昨年度は保健医療課に相談して、国保の加入についてやさしい日本語で説明する動画を制作したが、本年度はやさしい日本語のワークショップを担当させていただき、少しでも地域の多文化共生に貢献できたとすれば、本当にうれしい」と話す。「グループワークのファシリテーターを務めた学生たちは、職員と一緒にやさしい日本語の使い方を考えることは自分たちの学びになったし、何よりとても楽しかったと話している。全国でも、学生が研修のファシリテーターを務めるのは珍しいのではないか。やさしい日本語を推進する入管庁も山脇ゼミの活動に注目している。これからも中野区とのコラボで、ワークショップの内容を改善し、全国に発信していきたい」とも。

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