主観主義写真のフォトグラファー・原本康三の写真展が1月19日、廃業した街の写真館をリノベーションしたギャラリー「スタジオ35分」(中野区上高田5)で始った。
1921(大正10)年生まれの原本は、24歳の時に広島で原爆投下を経験し、戦後広島で活動した写真家。当時の広島には原本をはじめ、大藤薫さんや迫幸一など主観主義写真に関わる写真家が存在した。ギャラリー店主の酒航太さんによると、この3人は自由な意志で捉える主観的な写真表現「主観主義写真」の運動を提唱したドイツの写真家であるオットー・シュタイネルトが主導したグループ展「subjektive fotogarfie」のシリーズに参加した数少ない日本人の写真家だが、そのことはあまり知られていないという。
同スタジオでは主観主義写真に注目し、これまでに新山清、後藤敬一郎、大藤薫さんの作品を紹介しており、今回の展示が第4弾という位置付けとなる。
酒さんは「原本康三という写真家はほとんど知られていなく、原本の作品が展示される機会はほとんどなかった。戦後の広島でリアリズム写真に傾倒せず、瀬戸内海を中心に自由に撮影された写真は古ぼけることはなく、現代に生き返ってくる。原本の写真はその運動や時代背景を知らなくても、十分に伝わる表現力がある。本展では原本康三が残した数少ない作品をニュープリントで紹介する」と話す。
開催時間は16時~22時。日曜~火曜定休。2月18日まで。