アニメ制作の「トムス・エンタテインメント」(中野区中野3)が7月22日、「トムス・エンタテインメント クリエーター養成所」を設立した。
(関連フォト)「トムス・エンタテインメント」本社ビル全景全貌
「持続可能な日本アニメ産業の未来を創る」という指針の下、アニメーターの人材不足、デジタル作画への移行、CGの活用と作画との融合、アニメーション制作工程のDX、オリジナルIP開発等、中長期的に日本アニメ業界が抱える問題を「足場から改善」することに取り組む同社。同養成所は、同社、そして日本アニメ業界が10年後、20年後という未来にわたって「素晴らしい作品を生み出し続ける」ため、優秀なアニメーター、ディレクターを育成する目的で昨年4月、その前身が設立された。
同社作り方改革推進部担当者によると、同養成所は「目先の利益を求めてクリエーターの卵をふるいに掛けるのではなく、丁寧な教育指導と現場実習で地に足のついた技術と知識を身につけてもらい、アニメ業界を支えていく人材を着実に世の中に送り出していくことを目的にしている」という。来年度はその取り組みを加速するために組織名称を改め、間口を広げて研修生を募集する。授業は、国島裕子さん、山門郁夫さん、斉藤拓也さんなど現役アニメーターが講師となり、実際の動画・原画を教材に教育指導するほか、受講料も免除する。
同日、研修生の募集を始めた。応募資格は2023年3月に高校卒業見込みの人または高校以上を卒業した人で18歳~25歳の人。外国籍の人でも日常会話レベル以上の日本語能力がある日本在住の人。応募締め切りは9月5日。募集人数は若干名。
同社の前身である東京ムービーは1964(昭和39)年5月、手塚治虫のSF漫画「ビッグX(エックス)」のアニメを制作するためにTBS社屋の一室で産声を上げた。その後、新宿区、杉並区へと本社を移転しながら、「オバケのQ太郎」「パーマン」「巨人の星」「怪物くん」「アタックNo.1」「天才バカボン」「エースをねらえ!」などのアニメ制作を手がけてきた。1976(昭和51)年に東京ムービー新社となり、「ルパン三世2ndシリーズ」「あしたのジョー2」「じゃりン子チエ」「スペースコブラ」などを手がけ、1982(昭和57)年には中野区に本社ビルを開設。以後、「ルパン三世」テレビスペシャル、「それいけ!アンパンマン」シリーズ、「名探偵コナン」シリーズなど多数のアニメ作品を制作し、2000(平成12)年には商号を「トムス・エンタテインメント」とした。2005(平成17)年にはセガサミーホールディングスが親会社となる。制作部門、営業部門、関連スタジオなどが中野や新宿、三鷹などに点在していたが、2012(平成24)年11月にはJR中野駅南口の中野五差路交差点付近に本社を移転(現本社ビル)し、営業・管理部門が集結。2013(平成25)年11月には本社ビルの大久保通りを挟んだ向かい側に自社ビルとなるスタジオを竣工し、点在していた全ての拠点を統合した形で現在に至っている。