写真家で小説家の清水裕貴さん個展「よみがえりの川」が2月8日、廃業した写真館をリノベーションしたギャラリー&バー「スタジオ35分」(中野区上高田5)で始まる。
清水さんは1984(昭和59)年千葉県生まれ。武蔵野美術大学映像学科卒業。土地の歴史や伝説をリサーチしながら、物語を立ち上げ、写真、映像、言葉で作品を製作しているという。2011(平成24)年、1wallグランプリ受賞。2016(平成28)年三木淳賞受賞。2022年には千葉市美術館「とある美術館の夏休み」展、PGIにて個展「微睡み硝子」開催など。2018(平成30)年から始めた小説の執筆では新潮社のR-18文学賞大賞受賞。2019年「ここは夜の水のほとり」(新潮社)、2022年「花盛りの椅子」(集英社)、2023年「海は地下室に眠る」(KADOKAWA)を出版している。
個展について清水さんは「神田川にまつわる伝説を題材にした呪いと魔術の物語。光と街のごみと会話を収集して、写真と短編小説と映像で構成した。新宿を開拓して財を成した男は、自分の財産を守るために橋の上でたくさんの人を殺して神田川に投げ込んだ。男が人殺しをした橋はいつしか『姿見ずの橋』と呼ばれるようになったが男の罪は裁かれず、代償として、一人娘が呪われて大蛇になった。大蛇は今もごみくずと花びらが渦巻く水の中に住んでいるかもしれない」と話す。
ギャラリー店主の酒航太さんは「神田川にまつわる伝説を元に新たな物語を創造し、写真、映像、言葉を用いたインスタレーション。展示に加え、言葉と写真で編まれたZINEも清水さんが制作している。新宿の『A’holic』との共同企画だが、展示する作品は異なるので両方とも楽しんでほしい」と話す。
開催時間は16時~22時。日曜・月曜・火曜休催。3月4日まで。2月11日と3月4日には清水さん主催で「よみがえりのワイン会」を開く。