写真家・山内悠さん写真展「残像IV」が7月10日、廃業した写真館をリノベーションしたギャラリー&バー「スタジオ35分」(中野区上高田5)で始まった。
山内さんは1977(昭和52)年、兵庫県生まれ。自然の中に長期間滞在して作品制作を行っている。14歳の時に独学で写真を始め、スタジオアシスタントを経て制作活動を本格化。富士山の7合目にある山小屋に600日間滞在し、雲上の世界を撮り続けた「夜明け」(赤々舎)を2010(平成22)年に発表。2014(平成26)年には、滞在していた山小屋の主人に焦点を当て、山での日々を記した単行本「雲の上に住む人」(静山社)を刊行。2020年には、5年をかけてモンゴル全土を巡る時空の旅で制作した「惑星」(青幻舎)を発表。2023年、単身で屋久島の森の中で1カ月近く過ごしながら自然との距離感を探り続けた作品「自然 JINEN」(青幻舎)を発表。長野県茅野市を拠点に国内外で展覧会を開いている。
同ギャラリー店主の酒航太さんは「今回の写真展は、山内さんが20年に及ぶ撮影期間の中で、現像やプリントをする中で時々見つける『撮影した記憶がない写真』を抜き出し、鑑賞者によってセレクトしてもらった上で作品化する実験的な試み。写真家自身は作品セレクトをせず、他者によって選ばれた写真によって出来上がる作品となる。山内さんの無意識下で生まれた写真を通して、内なるものと外なるものから紡ぎ出されていく写真世界を、ぜひ見てもらえれば」と話す。
開催時間は16時~22時。日曜・月曜・火曜定休。入場無料(要1ドリンクオーダー)。8月10日まで。