写真家・卯月梨沙さんの写真展「幽明」が9月18日、廃業した写真館をリノベーションしたギャラリー&バー「スタジオ35分」(中野区上高田5)で始まる。
卯月さんは1988(昭和63)年生まれ。2018(平成30)年から昨年まで「写真表現中村教室」(文京区)に在籍し、同教室の室長でフリーカメラマンの小宮山桂さんに師事。
同展開催に際し、卯月さんは「白線の上をゆらゆらと歩き、落ちたら地獄…そんな遊びを子どもの頃にした。私は何度か落っこちたので、もう幽霊みたいなもの。何をもって『生きている』と定義付けるのか、それは人それぞれ。『ただいま』と帰る家も、笑い合う団らんも、安らかな惰眠も、何もかも当たり前ではない。何もない私でもただ在(あ)ることを赦(ゆる)されたかったけれど、そんなものは高望みだったらしい。洗剤を呷(あお)ってみても驚きの白さにはなれなかったし、欲しいものはいつも手に入らなかった。だからこそ、何も持たないこの手でも、創り出せるものが在ると証明したい。奪われた選択肢にとらわれず、不条理さえもおかしみに、私は私を生きてゆく」とコメントを寄せる。
同ギャラリー店主の酒航太さんは「近年、独自の美意識で頭角を現している写真家・卯月梨沙さん。現実と非現実の境に自身を介在させ、新たなる異界を創出している。当展ではライフワークである『幽明』のシリーズとして作家初の銀塩作品を発表する」と話す。
同展は前後期の2部制で、前期は卯月さんによる作品セレクション、後期は同スタジオによる作品セレクションとする。
開催時間は16時~22時。日曜・月曜・火曜定休。入場無料(要1ドリンクオーダー)。前期=9月18日~10月5日、後期=10月9日~10月19日。