中野区立多田小学校(中野区南台3)で1月11日、「香りで育む・豊かなコミュニケーション力」と題した公開体験授業が行われた。
同授業は「児童が自ら課題を見付け、学び、考え、よりよく課題を解決する資質や能力を育てること」をねらいとした「総合的な学習の時間」の一貫で、同校5年生1クラスを対象とし、小学校教育では取り扱いが難しいとされる「香り」を題材にした「香育」の公開授業。同校が同日と翌日の2日間にわたり開いた全校児童「作品展」の学校公開日に合わせて行った。
講師を務めたのはアロマライフデザイナー(AEAJ認定アロマテラピーインストラクター)の南野愛さん。慶応義塾大学を卒業し、約7年間のOL 生活を経て2010年2月にaromamour(アロマムール)を立ち上げ、結婚式などイベントでのアロマ演出を数多く手掛けている。今回の授業は、同校教諭と南野さんが知り合いであることから実現した。
授業では、嗅覚から得た情報や感覚を自由な発想で表現する実習を行い、形のないものを言語化する表現力や人に伝えるコミュニケーション力、他の感覚を尊重する心を養うことを目的とし、南野さんによる自然環境や植物、香りについての説明の後、実際に児童らが植物から抽出される天然の香り(精油)を嗅いで感じたことを言葉にしたり、想像した色をイメージしたりした。
実習では、児童があらかじめブレンドされた「A」「B」「C」3種類の香りを嗅いで好きなものを選び、その香りのアロマスプレーを作成。児童自身で香りの名前を付け、その名前とイメージした色などでスプレーラベルを作成した。ある児童は「わたしはBを選びました。そして名前は『AKB』と付けました。『アロマが香るB』という意味です」と発表し、先生や父兄を感心させていた。
南野さんは「香りをブレンドすると、ひとつひとつの香りのイメージと、また違った印象を持つ。友だち同士で香りを交換して楽しんで下さい」と話し、授業の最後には「今日のこの授業をきっかけに、日常生活の中で『香り』を意識してみると新たな発見がある。そして『香り』は記憶に残ると言われているので、ぜひ香りを意識したすてきな人生を送って、新しい発見をして欲しい」」と児童たちにメッセージを伝えた。
作品展を企画した図画工作担当の三田菜美教諭は「展示した児童の作品はそれぞれ工夫が見られ、その子らしさが出ている。このような作品を作ったり鑑賞したりする中で、児童は友だちと自然に会話をしている。今回の授業は、豊かな表現力とコミュニケーション力を『香り』を切り口に育てていく貴重な体験。この授業で身に付けた力をさらに高め、日々の生活の中で発揮してくれればうれしい」と話した。