
フランス制作2作品・特別2本立て上映「渡辺謙一監督と民主制を考える」が3月22日、映画館「ポレポレ東中野」(中野区東中野4)で始まる。
(関連フォト)映画「日本・彼らは帝国の終わりを見た」のワンシーン © KAMI Productions
フランス在住・渡辺謙一監督の近作「日本・彼らは帝国の終わりを見た」「台湾・デジタルデモクラシー」の2作を2本立て上映し、来日中の渡辺監督が連日トークを行う同企画。同館の石川翔平さんによると、渡辺監督作品としては過去に同館で「天皇と軍隊」「国家主義の誘惑」などを上映しており、一貫してフランスから極東の地を歴史的・地政学的な視点で見つめた作品を撮り続けている監督だという。
「日本・彼らは帝国の終わりを見た」(ARTE/KAMI Productions ELEAZAR 共同制作、2024年、54分)は、昭和初年から20年の敗戦まで、在日フランス人家族とその友人の記者の証言や当時の写真を使い、家族の変転と日本社会の変容を重ね物語る。ナチスドイツのフランス侵攻は日本の南進政策の一因となり、インドシナにおいて日仏関係は極度の緊張を迎える。フランス軍に徴用された主人公は、日本軍の仏印監視団の通訳として随行を命じられ…。
「台湾・デジタルデモクラシー」(PUBLIC SENAT/KAMI Productions 共同制作、54分)は、2016年総統・立法院選挙の後、国民党から政権を奪った民進党は若い世代の政治参加を目標に大臣クラスの官僚ポストを若返らせた。中でもデジタル担当大臣オードリー・タンの起用は若者たちの政治参加への窓口になった。タン大臣はデジタルツールをデモクラシーの実践に使うべく、デジタルデモクラシーと呼んだ…。
渡辺監督は1975(昭和50)年、岩波映画に契約助監督で入社。1984(昭和59)年、文化庁在外研修員としてパリ・シネマテックで1年間研修。1997(平成9)年パリに移住し、フランスや欧州の放送向けドキュメンタリーを監督。「天皇と軍隊」(2009年)、「ヒロシマの黒い太陽」(2011年)、「フクシマ後の世界」(2012年)、「核の大地・プルトニウム物語」(2015年)、「国家主義の誘惑」(2017年)、「我が友原子力ー放射能の世紀」(2020年)など、欧州では遠い存在である「ヒロシマ」や「フクシマ」の共通理解を深める作品製作に取り組んでいる。
上映開始は16時10分。料金や上映後の渡辺監督トーク内容などはウェブサイトで確認できる。3月28日まで。