中野ブロードウェイ(中野区中野5)4階に5月28日、昭和風情漂う「謎の空間」が出現し、近隣のオフィスや店舗、来館者の間で話題となっている。
突如現れた「謎の空間」、南側は昭和の時代によく見かけた赤い公衆電話のある「たばこ屋」や、入り口にオレンジがかった透明の手動扉がある「喫茶店」のような外観。北側はバラックの酒場風で、偶然通り掛かった数人のグループは「まんだらけが飲食店やるんじゃない?」と話していたほか、中野経済新聞編集部に「中野ブロードウェイの4階に昭和風のすごい飲み屋街が作られているが、何か情報入っていますか?」と問い合わせもあったほど。
この空間、実は中野ブロードウェイ内にギャラリー「Hidari Zingaro」「Oz Zingaro」「pixiv Zingaro」や、カフェ「Bar Zingaro」を運営しているアーティスト・村上隆さん率いる「カイカイキキ」(港区)の中野オフィスで、「Office Zingaro Yokocho(オフィス甚蛾狼横丁)」という名称も付けられている。オフィス内には昭和の銭湯にある富士山の壁画や脱衣場に囲まれたミーティングスペースのほか、バーカウンターやミラーボールのあるスナックにはスタッフらのデスクが置かれる予定で、通路からのぞき見もできる。
手掛けたのは、かつて商店街として栄えた「山下ショッピングセンター」跡に個性的な飲食店が軒を連ね、メディアなどでも多く取り上げられている「恵比寿横丁」(渋谷区)をプロデュースした浜倉好宣さん。村上さんは、恵比寿横丁の雰囲気が気に入って1カ月間ただひたすら毎日飲み会をするという謎の企画「恵比寿横丁トライアル」を行ったり、「村上隆の五百羅漢図展」のアフターパーティーでも貸し切りにしたりしたほどで、村上さんから浜倉さんにコーディネートを依頼して約3カ月で完成した。
5月28日にはオープニングパーティーが行われ、村上さんをはじめ、浜倉さんや「TRNSIT GENERAL OFFICE」中村貞裕社長、日本酒ソムリエのレベッカさんや「水中ニーソ」の古賀学さんら招待客のほか、建築系メディアらも出席。酒場部屋では焼き鳥や串焼きなど部屋のコンセプトに合った料理などが振る舞われ、横丁にはギターを抱えた「流し」が現れるなどして、参加者は「昭和」の演出を楽しんだ。
オフィスをコーディネートした浜倉さんは「村上さんから『横丁のようなオフィスを作ってほしい』と言われ正直びっくりした。スナックや銭湯、家や酒場など、自分が思い描いた昭和の横丁を忠実に再現したつもり。この空間をオフィスにしてしまう村上さんはやっぱりすごい。ぜひ横丁のようなにぎわいを作ってほしい」と話していた。