明治大学中野キャンパス(中野区中野4)6階ラウンジで6月28日、中野区長と外国人留学生とのディスカッションイベントが開催された。主催は中野区と明治大学国際日本学部山脇ゼミ。
田中区長(前列中央右)や山脇教授(前列中央左)ら参加者の集合写真
海外メディアにも多く取り上げられる中野ブロードウェイ(中野5)を中心とした「サブカルの聖地」への外国人来街者や、キリンなどの企業に来訪する外国人ビジネスマン、四季の都市内にキャンパスを持つ明治大学や帝京平成大学、早稲田大学の留学生寮など、外国人来街者が年々増えている同区。
これからの中野のグローバル化を考える上で、外国人留学生の意見を参考にしようと、同区と同大学が企画した同イベントは今年で3回目。当日は、「日本の中野から世界のNAKANOへ~グローバル都市をめざして~」をテーマにディスカッションを行った。
ディスカッション参加者は田中大輔中野区長、中野区グローバル戦略推進担当副参事の石井大輔さん、中野区都市観光・地域活性化担当副参事の藤永益次さん、中野区企画担当副参事の海老沢憲一さんらと、同大学在学の外国人留学生6人と日本人学生1人。モデレーターは山脇啓造教授が務めた。
あいさつで、田中区長は「イギリスのEU離脱などグローバル化に対して別の流れも生まれているが、人やモノが国境を越えて地球規模で動き、国や社会が発展していくという大きな流れは変わらない。そんな中、どう発展するかが鍵。より中野が発展できるように、よいヒントやきっかけがもらえる会になれば」と話した。
中野区の取り組みに関するプレゼンテーションでは、中野区の人口と外国人比率の増加、フリーWi-Fiの民間の店舗への導入検討についてなど、登壇者がユニバーサルデザインのまちづくりへの展望を発表した。
「インバウンド観光」と「ユニバーサルデザイン」をテーマに行ったディスカッションでは、「インバウンド観光で、中野の面白いところは?」との山脇教授からの問いかけに対して、留学生の一人は「ブロードウェイは活気があり、セントラルパークには自然もあるというハイブリッドなところ」と答えた。
「外国人への情報発信の仕方」に対しては、「もともと中野に興味ないと真面目なPR動画は見ない。(外国人に中野をPRするには)アニメの聖地巡礼のように、中野に興味を持たせるきっかけが必要」と答えた。
「ユニバーサルデザイン」では、「外国人が住みやすいまちにするために何が中野に足りないか」との問いに対し、「サポートが必要。シェアハウスだと係員のサポートもある上に、家賃を払うのはネットでとても簡単。一方で一人暮らしはガス、電気など最初はどう払うかわからない」との意見が挙がった。
ディスカッションの最後に田中区長は「中野のよさをどう発信していくかが課題。グローバル化の基本として、中野区住民と外国人住民との間で折り合いをつけていく。留学生に、中野のグローバル化に際して手伝いをお願いしたい」と話した。
山脇教授は「(自治体と留学生の)両者の関係をより密接にし、連携を取りながら継続して関係を深めていきたい。今後も多文化共生の課題、中野区のグローバル化について考えていきたい」と話した。
ディスカッション終了後は集合写真を撮影し、懇親会が開かれた。参加した留学生のカオ・ユーチャンさんは「楽しかった。昨年と違って少人数であったのもあり、今回は言いたいことが言えた。意見を聞いてもらえる機会はあまりないので、次回もぜひ参加したい」と話す。
明治大学卒業生の臼井愛菜さんは「昨年に引き続き2回目の観覧。留学生の生の声を区民や区長に直接届けることに意義を感じる。前回と同様の不動産の話題が挙がった。次回はさらに具体的な話を聞きたい」と話していた。