共同保育のドキュメンタリー映画「沈没家族 劇場版」が4月、東中野の映画館「ポレポレ東中野」(中野区東中野4)で上映される。
かつて東中野に存在し、さまざまな若者が一つの家に寄り合って子育てに奮闘した実践的共同保育のドキュメンタリー。PFFアワード2017で審査員特別賞、京都国際学生映画祭2017では観客賞、実写部門グランプリを獲得。加納土(つち)監督が武蔵大学在学中の卒業制作として発表した作品を劇場版に再編集した。音楽は八丈島出身のバンド「MONO NO AWARE」が担当し、同作のために書き下ろした楽曲「A・I・A・O・U」を提供している。
1995年、シングルマザーだった加納監督の母である加納穂子さん(当時23歳)が、加納監督が1歳のときに、共同で子育てをしてくれる「保育人」を募集するためにビラをまき始めた。「いろいろな人と子どもを育てられたら、子どもも大人も楽しいんじゃないか」という母の考えのもと集まったのは、独身男性や幼い子を抱えた母親など10人ほど。毎月の会議で担当日を決めて、東中野のアパートでの共同保育が始まった。
「沈没家族」という名称は、当時の政治家が「男女共同参画が進むと日本が沈没する」と発言したのを聞いて腹を立てた母が命名。家族の新しいかたちとして、ストリート・カルチャーのオルタナティブな生活実践として、当時注目を浴び、メディアでもたびたび取り上げられたという。母はどうしてたった一人でこの「家族」を始めたのか。20年の時を経て、おぼろげだった加納監督の「家族のカタチ」が見え始めた――。
公開日や料金などは、近日中に同館ウェブサイトで発表する。