中野区に残るかやぶき屋根の古民家「細田邸」(中野区)が5月26日、一般公開される。主催は中野区の伝統的建築物や近代建築の保存運動に取り組む「中野たてもの応援団」。
当日は日本大学生産工学部建築学科非常勤講師の伊郷吉信さんによる建物の説明などのほか、江戸末期から同地域に伝わる伝統芸能で中野区無形民俗文化財の指定を受けている「鷺宮囃子(ばやし)」の演奏会も開かれる。
会場となる「細田邸」は、中野区で唯一のかやぶき民家といわれ、江戸時代末期の武蔵野の風俗をほうふつさせる。1860年ごろにこの地に移築され、古民家の特徴がそのまま残されている。戦前の地場産業である「沢庵漬け」などの漬物製造を行い、納屋には瓶詰め用のガラス瓶やさまざまなラベルも残り、屋敷林と共に当時の中野の産業を伝える貴重な環境として2011年に区教育委員会が建築調査を行っている
主催者代表で宇都宮大学名誉教授などを務める小西敏正さんは「ほとんど東京には残っていないかやぶき屋根の古民家の素晴らしさを広く皆さまに伝えるために企画した」と話す。主催の「中野たてもの応援団」は、歴史的建造物の所有者、古い建物に興味のある人、建築専門家によって2011年に発足、さまざまな活動を通じて「身近な歴史的建造物を大切に思う気持ち」を共有し、これらの活動をこれからの中野のまちづくりに生かしていくことを掲げている。
開催時間は10時~15時。雨天中止。既に100人以上の応募があり受け付けは終了しているが、同団体事務局側はこの状況を踏まえ、秋にも一般公開を予定している。