産学官福祉連携インクルーシブフード(嚥下調整食)支援スイーツ「飲めるとろ生焦がしキャラメルアップルチーズケーキ」の完成披露試食会が3月21日、新渡戸文化学園(中野区本町6)で行われた。
(関連フォト)「飲めるチーズケーキ」を試食する酒井直人中野区長
フードクリエーター五十嵐豪さん率いるフードクリエイティブファクトリー(中野6)が運営するスイーツブランド「toroa(トロア)」、摂食・嚥下(えんげ)障がい児支援の一般社団法人「mogmog engine(もぐもぐエンジン)」、新渡戸文化短期大学、中野区がコラボレーションし、インクルーシブフード支援スイーツの開発を進めていたが、開発が完了したためお披露目を行った。
インクルーシブフードとは、食事支援が必要な方や障がいの有無にかかわらず、加工せずに一緒に食べられる嚥下調整食のこと。摂食・嚥下障害とは、食べ物や飲み物をかんだり飲み込んだりする機能が低下した状態のことで、もぐもぐエンジン共同代表の永峰玲子さんが「トロア」の「飲めるチーズケーキ」を食べたときに「このスイーツなら嚥下問題を解消できるかも」と思い、五十嵐さんに相談したことから始まったという。
完成披露試食会には開発関係者やメディア、摂食・嚥下障がい児とその家族ら約30人が参加。出席した酒井直人中野区長は「五十嵐さんから相談を受けたとき、区としても応援したいと思った。自分で食べられるという喜びを大切にしていきたい」と話したほか、開発に携わった同大生は「人と人をつなげるスイーツ、大切な人を幸せにできるスイーツになれたらうれしい」と話した。
スイーツブランド「トロア」は「2022年おとりよせ大賞」の総合大賞を受賞した「奇跡のくちどけ とろ生チーズケーキ」などをラインアップする。今回完成した「飲めるとろ生焦がしキャラメルアップルチーズケーキ」は、そのチーズケーキに、北海道産生クリームで生成する自家製焦がしキャラメルクリームを配合し、青森県産王林と紅玉をブレンドしたものをクリームに混ぜたという。
五十嵐さんは「インクルーシブな社会は、パーンと手をたたいたらかなうわけではない。誰かが始めて、いろいろな人たちがつながり始めて、そこから徐々に認知が生まれていく。私たちはこの分野では初の産学官福祉連携だが、このようなことが当たり前になっていくことで、インクルーシブな社会は完成する。今回完成したスイーツは、困っている人たち専用のスイーツではないことも大きなこと。誰でも加工しないで同じものを食べられるので、いろいろな人に食べてほしい」と呼びかける。
今回開発された新商品は「トロア」の通販サイトで4月下旬から販売を予定するほか、今後は全国の病院内売店を販路とする卸などへの販売を検討している。