
「第2回東京中野文学賞」最終選考に選ばれた8作品から大賞などの受賞作品を発表する授賞式イベントが3月29日、中野区役所1階「ナカノバ」で開催された。主催は中野区観光協会と東京中野文学賞実行委員会。
(関連フォト)会場となった中野区役所「ナカノバ」の当日の様子
「若者の夢を育む街・中野から世界に向けて発信する物語を」を合言葉に2022年、同協会が「東京中野物語賞文学賞」を新設。2023年3月19日に1回目の受賞者を発表。第1回の最終選考作品からは文月蒼さんの小説「水槽世界」(飛鳥新社)が書籍化され、新たなコンテンツが誕生する場となっている。今回は「東京中野文学賞」と名称を変更し、創設時から2年周期で公募を行うとしていることから、昨年4月30日から2度目の公募を行い、昨年12月28日には、200を超える応募作品の中から最終選考に残った8作品を発表した。
最終選考に残った8作品の中からの最終選考は第1回同様、小説家の中島京子さん、映画監督の篠原哲雄さん、小説家・作家エージェントの鬼塚忠さんに加え、今回は中野区出身、ロックバンド「筋肉少女帯」のボーカルでエッセー、作詞、テレビ、ラジオ、映画など多方面で活動しているロックミュージシャン大槻ケンヂさんの4人が担当した。
イベントでは、前田地生実行委員長のあいさつ後、最終選考委員の篠原監督作品映画「本を綴(つづ)る」を上映。休憩の後、酒井直人中野区長あいさつ後に授賞式を執り行った。司会は副実行委員長の谷津かおりさんが務めた。会場には約160人が参加した。
クラファン賞は「その針がさすのは」=羽田圭介さん、中野区賞は「10円玉を握りしめたら」=宮本直樹さん、佳作は「軌道、レゾナント」=六ッ川和泉さんと「檸檬と蜜柑の狂詩曲(れもんとみかんのラプソディ)」=ふるたみゆきさん、と司会が発表した。佳作の六ッ川さんは都合により欠席した。クラファン賞の羽田さんには実行委員幹事長の橋本正太郎さんが、中野区賞の宮本さんには鬼塚さんが、佳作のふるたさんには大槻さんが、大賞の羽田さんには中島さんが、それぞれプレゼンターを務め、作品について講評した。欠席の六ッ川さんには篠原さんが講評した。
クラファン賞と大賞のダブル受賞となった羽田さんは「文学賞が東京である、しかも中野区というローカルなところで、人生で中野的な街に住んでいた期間というのはあると思うが、そういったところをメインに押し出した文学賞が面白いなと思った。自分のネタ帳の中にある単品では小説にはできないような小ネタが、中野という街を舞台としてどんどん結びついていった。中野という熱伝導率の高いフライパンに小ネタをどんどん入れて調理していったら、『これはいける』と思って小説を書いた。プロが応募していいのかなどの葛藤もあったが、中野文学賞というものが存在しなかったら生まれ得なかった作品が生まれたので応募した。大賞を頂けてうれしい。ぜひ多くの方に読んでいただけたら」と話した。
授賞式後には前田実行委員長と4人の選考委員による「プロフェッショナルたちの成功への軌跡」と題したトークショーが行われ、会はお開きとなった。