リリース発行企業:一般社団法人日本フットサルトップリーグ
3月8日は「JFA女子サッカーデー」。一般社団法人日本フットサルトップリーグ(以下、「Fリーグ」「女子Fリーグ」)は、Jリーグ・WEリーグなどと共に、この活動に賛同しています。
「JFA女子サッカーデー」の詳細はこちら>>https://www.jfa.jp/women/womensfootballday2025/
広くサッカーファミリーにこの活動を知っていただくため、日本フットサルトップリーグの中田久美 理事、鈴木万紀子 理事のお二人と、史上初開催となるFIFAフットサル女子ワールドカップを目指す、立川アスレティックFCレディースの藤田実桜 選手を交えて、対談を実施しました。今回はテーマ1「フェアに輝ける社会、夢に向かってチャレンジできる社会とは」をお届けします。
プロフィールはこちら
中田 久美(Kumi Nakada)理事:http://j-sm.jp/kumi-nakada/
鈴木 万紀子(Makiko Suzuki)理事:https://kanoacrew.co.jp/
藤田 実桜(Mio Fujita)選手:https://tachikawa-athletic.jp/ladies/mio_fujita/
対談で話された3つのテーマを、3回に分けてお届けします。
(1)フェアに輝ける社会、夢に向かってチャレンジできる社会とは
(2)もっと女性にプレーしてもらうにはどうしたらいい?
(3)史上初開催の女子ワールドカップを目指して
(1)フェアに輝ける社会、夢に向かってチャレンジできる社会とは
──先ず、今それぞれにお立場がありますが、キャリアの中で理想的な環境を手に入れるためにどういった努力をされてきたか、ストーリーがあれば教えてください。
鈴木理事「昔の環境から振り返ると、自分が何かを成し遂げる上で、女性だからといって権利を振りかざすのではなく、まず今の環境の中で文句を言わずに地道に頑張ることが大切でした。大学時代、ボート部の女子部員は数人しかおらず、合宿所の狭い部屋に追いやられ、お風呂も男性が使った後に入るような環境でした。でも、ボートが楽しくて、競技成績を上げていくにつれ、環境が少しずつ改善されていきました。卒業する年に女子専用のお風呂ができたんです。この経験から、社会に出てもまずは自分が与えられた環境で努力し続けることが、最終的により良い環境を作ることにつながると実感しています」
藤田選手「フットサルはまだまだ発展途上で、プロとして活動できる環境は日本にはありません。私自身、働きながら練習する生活を送っています。そんな中で、本当にこの環境でいいのかと自分に問いかけながら、試行錯誤してきました。プロでやりたい、もっと競技に集中したいと考え、海外に挑戦したこともありました。これまで働いてきた企業さんには『フットサルがあっての仕事』というスタンスで、理解していただきながら続けてきました。仕事とのバランスに悩んでいた時期もありましたが、ようやく自分なりの形を見つけつつあります」
中田理事「現役時代は、ただ自分の夢を叶えたいという思いで必死に競技に打ち込んでいました。当時、女子バレーの監督はすべて男性で、それが当たり前の環境でした。しかし、現役を終えた後、自分に何もないことに不安を感じたんですね。今ではセカンドキャリアの支援も少しずつ整ってきていますが、私の時代にはそのようなものはありませんでした。イタリアに行った際、プロとして戦う選手たちを目の当たりにして、日本の選手が恵まれすぎて甘いのではと感じたこともあります。選手たちには、自分の人生をしっかり考え、自立し、発信できる存在になってほしい。バレーボールを通じて何を伝えられるかを考え続け、指導者としてもその大切さを伝えていました」
──皆さんのエピソードの過程でそれぞれご苦労があると思いますが、その原因として男女の性差、女性であることが影響していましたでしょうか。
鈴木理事「女性がキャリアを積んでいくためには、結婚や出産といったライフイベントが影響を与えます。男性は結婚や子どもが生まれてもキャリアを継続しやすいですが、女性は産休や育休で一度キャリアが止まることが多い。私たちの時代は寿退社という考えもあり、キャリアが途中で終わることを前提にしていた部分もあります。スポーツの競技においては女子の中で戦っていたので、男女の性差を感じることはありませんでしたが、キャリア面では違いがあると感じています。これからの社会は、女性が安心してキャリアを積めるようなサポートができる社会になっていったら良いと感じているところです」
──キャリアの構築や継続を考えると、頑張って自身で環境を作っていくだけではない面があるということですね。
藤田選手「確かにキャリア面では結婚や出産は考えることになりますね。フットサルについて言えば、私のチームは男子チームと女子チームがあるのですが、環境の差を感じることはあります。全てのチームに当てはまることではないのですが、男子はお金をもらってプレーしているのに対し、女子はそうではなかったりとか。クラブとしては男女ともに大切にしたいと思っているものの、現実的には男子チームの方に多くの力が注がれている状況がある。そんな中でも、女子選手たちは工夫しながら環境を整え、前向きに挑戦していますが、やはりその差にはちょっと寂しさを感じます」
中田理事「Vリーグでは女性監督が珍しく、向かい風の中で指導してきた感覚がありました。バレーボールって海外遠征がすごく多くて、合宿期間も長いので、子育てをしている選手からすると非常に厳しい環境なんですね。代表監督時代には、出産後に復帰した荒木(絵里香)選手のサポートをしましたが、彼女が子育てをしながらプレーできるよう環境を整えたことで、『なぜ荒木だけ特別扱いするのか』という雰囲気もありました。ですが、前例がなかったからこそ、こうした取り組みが新しいスタイルとして根付くことを願っています」
──フェアであることを実現するには、配慮とその雰囲気作りが必要ですね。中田さんのような指導者が増えてくることで、雰囲気が変わることもありそうです。
中田理事「荒木選手がロールモデルになってくれるので、出産して復帰してくれているママさんプレイヤーもいますし、徐々にですけど、増えていくのではないでしょうか」
次回、「もっと女性にプレーしてもらうにはどうしたらいい?」に続く。