クラウドファンディング(以下CF)で大規模改修に向けた寄付を募っていた東京子ども図書館(中野区江原町1)が1月21日、目標金額を達成した。
同館は、子ども向けの本と読書を専門とする私立図書館。「本から得たたのしみ、喜び、慰め、励ましを、これから育つ子どもたちにも同じように味わってほしい」と願い1950年代から60年代にかけて、土屋滋子さん、石井桃子さん、松岡享子さんにより都内で開設した「家庭文庫」を母体として1974(昭和49)年に開館。当初は、一般家庭の一室に数百冊の本を並べて、近所の子どもたちを招くことから始め、20周年を迎えた1994(平成6)年には外部の有志による「東京子ども図書館を応援する会」が主体となって大規模な募金を行い、2年余りの募金の結果、1億3,000万円以上の寄付が集まり、1997(平成9)年11月に子どものための児童室、話会専用の部屋、催し物のためのホール、大人のための資料室を備えた現在の建物が完成した。2010(平成22)年には公益財団法人化。2015(平成27)年からは張替恵子さんが理事長を務める。
近年、コロナ禍による臨時休館をきっかけに、資料へのカビの発生、エレベーターや資料室の経年劣化、空調機の水漏れなど、さまざまな問題が運営を妨げている。そのため、館内の故障箇所の改修や可動式の本棚の設置、2022年に他界した松岡享子名誉理事長のこれまでの仕事をまとめたコーナーの新設などを行うため、第1目標を3,300万円としてCFを始めた。
1月14日には当初の目標額を達成し、同館関係者や普段から親子で利用している保護者らは歓喜に沸いたという。その後、さらに500万円を上乗せした3,800万円を次の目標額としてCFを継続した。上乗せ分の500万円は、カビの発生を抑えるための資料室全資料の燻蒸(くんじょう)処理の費用だという。
1月21日には目標額3,800万円も達成し、1月25日現在、寄付額は4,100万円を超える。目標額を超えた寄付金は、松岡享子名誉理事長を追悼する「松岡享子さんに感謝する会」を開いた際の寄付を元に新設した「本よんでうれしいさん基金」に繰り入れる。「財団運営の基盤となる施設やIT環境の整備などに優先的に用いることを目的としており、今回の支援金も、リニューアル後の建物・設備の維持管理や情報発信の向上などに大切に使わせていただく」という。
CFは1月31日まで。リニューアルオープンは2026年4月を予定。