東中野の「レパートリーシアターKAZE」(中野区東中野1、TEL 03-3363-3265)で3月8日・9日、代表作「肝っ玉おっ母とその子どもたち」の公演が行われる。
同作品は東京演劇集団風が1999年に劇団の専属シアター「レパートリーシアターKAZE」を建設した際に、こけら落としとして公演し、その後、終幕に「あとから生まれてくる人たちに」という作者ブレヒトの詩の朗読を加え、中学や高校を対象とした全国巡回公演を行い、東日本大震災後は被災した中学や高校で上演してきた作品。主演は辻由美子さんが務める。
舞台は17世紀ヨーロッパ、中央ヨーロッパ全土を巻き込んだ宗教戦争(三十年戦争)。通称を「肝っ玉おっ母」というアンナ・フィアリングは3人の子どもたちを抱えながら、ほろ車に商品を詰め込み軍隊相手に商売をして生活している。戦争を追いかけて商売を続ける道すがら、出会い別れていく人々-娼婦のイヴェット、従軍牧師、料理人、兵隊たち。彼らもまた、戦争の中で生きるための闘いを続けている。「おっ母」は子どもたちを戦争に行かせたくない一心で必死に商売を続けるが、長引く戦争は彼女の大切な子どもたちを一人また一人と奪っていく――。
公演は2日間のみだが、今月10日~13日は同劇団が毎年取り組んでいる「春の劇場体験週間」として、中野区や杉並区内の中学校が参加し鑑賞するほか、楽しみながら人との関係を掘り起こしていくコミュニケーション・ワークショップや舞台見学、出演者との座談会などを開く。「人が創意工夫する面白さ」や「人の手によってつくられる場の面白さ」を伝える企画も。
同劇団の俳優で、同イベントを企画する工藤順子さんは「この時代のなかで人が生きること、そこにある人の願いをともに感じ、考え、観客の皆さん一人一人にとって『生きる力』となっていく場をつくっていきたい」と話す。
チケットは、大人(当日券)=4,000円、学生=3,300円。両日共14時開演。前売り券の価格やチケット購入方法など、詳しくはホームページで確認できる。