中野サンプラザ(中野区中野4)15階フォレストルームで6月12日、男優集団「劇団スタジオライフ」(新井5)の戦後70年企画・手塚治虫さん原作「アドルフに告ぐ」の制作発表会が行われた。
(関連フォト)戦時中のことについて語る山本晋也監督(右)と聞き手の倉田淳さん
1985(昭和60)に結成し、今年30周年を迎えた同劇団。1987(昭和62)年からは男優が女性役も演じる手法をとり、現在は男優約40人が在籍する。男性のみで構成されていることや、劇団唯一の女性で演出家の倉田淳さんの舞台演出で、幅広い年齢層の女性に人気を集める。
今回の制作発表会は創立30周年記念公演の第3弾という位置付けで、手塚治虫さん原作の「アドルフに告ぐ」を、倉田さんの脚本・演出で同劇団として8年ぶりに舞台化する。「アドルフに告ぐ」は、ドイツ人の少年アドルフ・カウフマンとユダヤ人の少年アドルフ・カミル、2人のアドルフが育てた友情が、アドルフ・ヒットラーの支配する暗黒の時代の波に翻弄(ほんろう)される様を描いた物語。
制作発表会の前に行われたトークショーでは、戦後を生き抜き、反骨精神と鋭い視点で表現活動を行ってきた映画監督・山本晋也さんをゲストに迎え、戦後70年と「アドルフに告ぐ」を通してこれからの日本と私たちの進むべき未来を考えるという内容で、聞き手は倉田さん。山本監督は「国家という怪物の正義という呪文に気をつけろ、ということを言いたいのだと思う」と話したほか、「必ず見に行き、素晴らしいものになっているかどうかチェックしたい」とも。倉田さんは、「この内容のものを今だからこそやる意味がある」と話した。
制作発表会で昨年6月に亡くなった創設者・河内喜一朗さんに替わり代表に就任した藤原啓児さんは「亡くなった河内代表は6年前から再演の話に力を注いでいた。河内の思いをくみ取って、皆で応援してほしい」とあいさつした。フォトセッションでは、事前に申し込みのあったメディアのほか、ファン40人に対してアドルフ・カウフマン役の松本慎也さんや山本芳樹さんらを中心とした出演者が集合してポーズをとるなどの記念撮影会が行われた。
東京公演は7月11日~8月2日。会場は紀伊国屋ホール(新宿区新宿3)。詳しくはホームページで確認できる。