中野ブロードウェイ東側のカオス空間「中野ワールド会館」(中野区中野5)が現在、閉館の危機に陥っている。
ワールド会館は、中野ブロードウェイ南入り口前の白線通りを東側に50メートルほど進んだ中野新仲見世商店街の奥に位置する、築40年以上の雑居ビル。オープン当初はホテルも併設していたが、現在は「中野坊主バー」、アニソンDJカフェバー「雷神」、アニソンカラオケバー「Z」、ジョジョ風バー「DIO」、アニメコスプレカフェ「HANILAN」、特撮バー「空想科学」など「サブカルの聖地」を象徴するような飲食店を中心に20店舗近くが営業し、テレビや雑誌で何度も取り上げられているほどの場所。「中野一カオスな場所」「中野の魔界」「中野九龍城」「中野の不夜城」「中野の魔窟(まくつ)」などと呼ばれている。
そのワールド会館が現在、閉館の危機に陥っている。オープン当初から現在に至るまでにビルオーナーは何度も変わっているが、現在のビルオーナーの支払い金滞納問題などで債権者による土地建物の差し押さえ、東京地裁の競売調査などのほか、上下水道などのライフラインまで止まる可能性があるという。また、その情報を聞きつけたテレビ局が特番の企画も進めているといい、テナント各店舗には深刻な問題となっている。
今月13日には、ワールド会館商店会長で「中野坊主バー」店主の釈源光さんを中心に、テナント経営者十数人が集まり対策委員会を設置。営業を継続できる方法の模索などを検討し、すでに水道局から全テナントに対して「8月18日に上下水道の供給を停止する通知状」が投函(とうかん)されたという事実もあったが、同商店会の懸命の対応で一時的に回避された。
「アニソンDJカフェバー雷神」店主の林田岳友(Linzoo)さんは、「雷神としての契約は来年の10月まで。できることならこの場所で営業を続けたいと思っている。中野やこの場所の面白さを知っていらっしゃる人にぜひ新しいビルのオーナーになってほしい」と呼び掛ける。釈会長は「現場は戦々恐々とし始めている。これからもこの場所で営業ができるよう、対策協議会を重ねていくしかない」と話す。
取材中の内容を速報としてフェイスブックに掲載したところ、読者からは「守りたいです!」「一般区民は何から始めたらいいですか?」「無くならないでほしい」などの声が寄せられている。中野ブロードウェイよりもディープでカオスな場所と称される同会館の動向に今後も注目が集まる。