東中野の映画館「ポレポレ東中野」(中野区東中野4)は8月3日から、戦後視覚芸術の専門家である正木基さんの企画第1弾として上映会&トークショー「映像の中の炭鉱」を開催する。
女ながら炭鉱に入ることになった山田五十鈴演じる主人公・サヨ(「女ひとり大地を行く」より、亀井文夫監督、(C)独立プロ名画保存会)
戦後視覚芸術を専門とするキュレーターの正木さんを企画者に迎え、戦後に製作された膨大な炭鉱をテーマとした映画や2011年に世界記憶遺産に登録された坑夫・山本作兵衛さんの炭鉱記録画なども踏まえながら、「戦前・戦時中の炭鉱を、映像はどのように表現してきたか」を検証・鑑賞する。
上映作品は「地の底への精霊歌(しょうりょうか) 炭鉱(やま)に民話の生まれる時」(1993年、今野勉監督)、「女ひとり大地を行く」(1953年、亀井文夫監督、出演=山田五十鈴さん、宇野重吉さんほか)、「泣き濡れた春の女よ」(1933年、清水宏監督、出演=岡田嘉子さん、大日方傳さんほか)の3作品。
上演スケジュールは連日12時20分上映開始で、全ての上映後にトークショーがある。3日=「女ひとり大地を行く」(演出家の今野勉さん)、4日=「地の底への精霊歌」(=今野勉監督×正木基さん)、5日=「泣き濡れた春の女よ」(=正木基さん)、6日=「女ひとり大地を行く」(=写真家の萩原義弘さん)、7日=「地の底への精霊歌」(写真家の萩原義弘さん×正木基さん)、8日=「泣き濡れた春の女よ」(正木基さん)、9日=「地の底への精霊歌」(編集者の渡辺勝之さん×正木基さん、以上トーク)、トーク時に「黒い羽根運動によせて」(1959年/RKB)を参考上映)。
主催者は「原子力発電所がほとんど動いていない今日の日本のエネルギーは、火力発電が中心となっていてその大半では今でも石炭を燃やしている。そして戦前・戦時中に日本の炭鉱で行われていた強制労働の歴史なども見ることもできる。また、富士山の世界文化遺産登録が話題となっているが、2年前に世界記憶遺産に登録された坑夫・山本作兵衛さんの炭鉱記録画をテーマにした作品もある。炭鉱というテーマは過去のもののように思われがちだが、今こそもう一度考え直してみてはどうだろうと考え、企画した」と話す。
上映時間は12時20分。料金は、当日一般1,500円、シニア1,300円、大学生・専門学生1,000円、中・高700円。現在開催中の埼玉県丸木美術館「坑夫・山本作兵衛の生きた時代」展の半券提示の場合に限り1,000円。8月9日まで。