阿部淳さん写真展「黒白(こくびゃく)ノート」が3月20日、廃業した写真館をリノベーションしたギャラリー&バー「スタジオ35分」(中野区上高田5)で始まる。
阿部さんは1955(昭和30)大阪生まれ。大阪写真専門学校(現ビジュアルアーツ専門学校・大阪)卒業後、ダンスグループ「白虎社」の映像スタッフとして各国巡行に同行する。2013(平成25)年には第25回「写真の会」受賞。2017(平成29)年には写真展「写真書簡」を、2018(平成30)年には写真展「白虎社」を、それぞれ大阪「The Third Gallery Aya」で開催しているほか、2019年に「市民社会」、2021年に「黒白ノート」、2022年に「1995」をVACUUM PRESS社から出版している。
阿部さんは「自分の写真についての説明を求められると、いつも、『現実の現実感と夢の現実感が重なったとことでシャッターを押す』というようなことを言っている。夢というのは、夜眠っているときに見る夢で、自分の脳の中で起きているのに、自分の思うようにできないので、自分の中に他者がいると感じてしまう。この自分の中の他者性と外の世界の他者性がシンクロしたところで写真を撮っている。また写真は、いろいろな見方ができ、形や質感、色、光線状態、社会的意味、対象との関係性などなどが一枚の写真に重なっていて、それを横から見るとビルのように階層状になっている。例えば、2階に質感のフロア、5階に社会的意味のフロアという風に、個別の写真によってその階の密度は異なるが、このように分布している。それをビルの屋上の上空から見たのが、一枚のプリント。あまり一つのフロアだけで展開させず、できる限り多くのフロアを開放して写真を撮るように努めている」と話す。
ギャラリー店主の酒航太さんは「阿部さんは1979(昭和54)年より大阪の街を中心に路上で撮影を続けている。同展示では、写真集『黒白ノート』のシリーズから80年代後半から90年代前半に撮影された『黒白ノート2』と『黒白ノート3』を前期・後期に分けて展示。展示作品は写真集『黒白ノート1』と『黒白ノート2』の原稿として使われたオリジナルプリントとなり、東京では11年ぶりとなる個展。ぜひ阿部淳の写真世界を堪能してほしい」と呼びかける。
開催時間は16時~22時。日曜・月曜・火曜休催。要1ドリンクオーダー。3月20日18時からはオープニングレセプションを予定。4月27日まで。