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中野区役所で「つけ麺誕生70周年」記念シンポジウム 復刻つけ麺試食会も

まだ「特製もりそば」がメニュー化されていない開店当時の中野大勝軒

まだ「特製もりそば」がメニュー化されていない開店当時の中野大勝軒

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 「つけ麺誕生70周年記念シンポジウム~つけ麺のおいしさと素晴らしさを世界へ~」が12月27日、中野区役所1階「ナカノバ」などで開催される。主催は日本つけ麺学会。

(関連フォト)「つけ麺誕生70周年記念シンポジウム」ポスター

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 1955(昭和30)年4月1日に、故・山岸一雄さん(「東池袋大勝軒」の初代大将)が店長を務める中野区橋場町(現在の中央5丁目付近)の「中野大勝軒」で誕生したといわれているつけ麺(当時のメニュー名は「特製もりそば」)。同イベントは、その誕生を記念したシンポジウム(第1部)と復刻つけ麺試食会(第2部)を開催する。

 阿佐ヶ谷「栄楽」で修業をしていた故・坂口正安さんが、「つけ麺」生みの親となった弟分の故・山岸一雄さんを連れて独立し、中野大勝軒を開いたのが1951(昭和26)年12月。中野大勝軒は創業1号で、まだ戦後の雰囲気が残るマーケットのバラック立ての露店だったという。当時、坂口正安大将には子どもがいて、安心して家族が暮らせるようにと、1955(昭和30)年2月には住居と店が一つになった代々木上原大勝軒を開いたため、中野大勝軒は山岸さんが店長を任された。その年の4月1日から新メニューとして「特製もりそば」をメニューに加え、「つけ麺」が誕生した。

 「特製もりそば」は、「そもそも阿佐ヶ谷栄楽の賄い飯で、湯切りした後に余った麺を集めておき、後で従業員が食べていて、それを改良したものを中野大勝軒で売り物にした」と、後に山岸さんは語っている。中野大勝軒の2代目・坂口光男さんは「一雄さんが命名した『特製もりそば』の『特製』の意味は、スープの中に特別の具材が盛りだくさんで入っているとか、スープを別にこしらえてあるとかのものではなく、日本そば屋で品書きにある、そば粉で作ったそばの『もりそば』と間違えて混同しないようにとの配慮だった。あのころはラーメンではなく『中華そば』だったから、必然的なネーミングだったかもしれない」と話す。

 中野大勝軒で「特製もりそば」が誕生してから3年後、「手間がかかる」「水道代が多くかかる」などの理由で「つけ麺」をメニュー化していなかった代々木上原大勝軒でも故・坂口大将がメニュー化し、名前を「つけそば」とした。「そば屋をよく知る父は、新しい時代のネーミングをと、つけて食べることから『つけそば』と命名した」と坂口さん。

 1961(昭和36)年に中野大勝軒の店長だった山岸さんが独立して東池袋大勝軒を作った関係で、代々木上原大勝軒と中野大勝軒はもともと同じ経営だったため、中野大勝軒も「つけそば」というメニュー名になったことから、中野大勝軒などは「つけそば」、東池袋大勝軒やのれん分けした子や孫店舗などは「もりそば」という名前でメニュー化しているところが多い。中野大勝軒は1974(昭和49)年に、現在の中野区中野3丁目に移転した時から、店名に「つけそば専門店」と正式に付けたという。なお、「つけ麺」という言葉は1973(昭和48)年ごろに「つけ麺大王」が使ったのが最初といわれている。

 当日、第1部のシンポジウムでは、東京麺会代表で「マツコの知らない世界~ラーメン最強麺の世界~」などのメディアに出演している藤野弘行さんが「つけ麺の過去・今・未来」をテーマとした基調講演を行う。次に、日本つけ麺学会の名誉会長で中野大勝軒2代目の坂口光男さん、同学会の会長で中野区長の酒井直人さん、中野区の中華麺メーカー・百年麺工房中野大成の鳥居憲太郎社長、同学会会員のダミアン・ジョアネさん、東京麺会の藤野代表が登壇し、「つけ麺を世界へ」をテーマとしたトークイベントを行う。モデレーターは同学会専務理事で中野経済新聞の杉山司編集長が、MCは「野方お笑い総選挙2024」で優勝したお笑いコンビ「インザパーク」が、それぞれ務める。

 「NYAカフェ」で行われる第2部は中野大勝軒が「つけそば」を出し始めた頃の復刻つけ麺試食会。第1部の登壇者や有名ブロガーなど参加者と交流会を開催する。

 同学会の坂口名誉会長は「10年前の、くしくもつけ麺誕生と同じ4月1日に亡くなった(山岸)一雄さんのこと、つけ麺のことなどを、後世に伝えていく義務があると思っている。大勝軒も海外に進出したり、最近では『もり中華』など新たな呼び方のつけ麺も出てきたり、いろいろな形で広がりを見せていることもうれしい限り。ぜひつけ麺の魅力を存分に味わっていただきたい」と話す。

 開催時間は、第1部=14時~16時、第2部=16時30分~18時。参加費は、第1部=1,000円(つけ麺誕生70周年記念ステッカー付き)、第1部+第2部=6,000円(定員100人)。

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