「トムス・エンタテインメント」(中野区中野3、TEL 03-6382-6140)が今年8月で、アニメーション制作50周年を迎える。
同社の前身である東京ムービーは1964(昭和39)年5月、手塚治虫のSF漫画「ビッグX(エックス)」のアニメを制作するためにTBS社屋の1室で産声を上げた。その後、新宿区、杉並区へと本社を移転しながら、「オバケのQ太郎」(1965年)、「パーマン」(1967年)、「巨人の星」「怪物くん」(1968年)、「アタックNo.1」(1969年)、「天才バカボン」(1971年)、「エースをねらえ!」(1973年)などのアニメ制作を手掛けてきた。
1976(昭和51)年には、東京ムービー新社が千代田区に設立され、「ルパン三世2ndシリーズ」(1977年)、「あしたのジョー2」(1980年)、「じゃりン子チエ」(1981年)、「スペースコブラ」(1982年)などを手掛け、1982(昭和57)年には中野区に本社ビルを開設した。
その後も「キャッツ・アイ」(1984年)、「おねがい!サミアどん」(1985年)、「Bugってハニー」(1986年)などを制作し続け、1988(昭和63)年には東京ムービー新社が東京ムービーの制作部門を統合、以後「ルパン三世」テレビスペシャル、「それいけ!アンパンマン」シリーズ、「名探偵コナン」シリーズ、「とっとこハム太郎」シリーズなど多数のアニメ作品を制作し、2000年には商号を「トムス・エンタテインメント」とした。なお、2005年にはセガサミーホールディングスが親会社となった。
制作部門、営業部門、関連スタジオなどが、中野や新宿、三鷹などに点在している状況であったが、2012年11月にはJR中野駅南口の中野五叉路付近に本社を移転(現本社ビル)し、営業・管理部門が集結、2013年11月には本社ビルの大久保通りを挟んだ向かい側に自社ビルとなるスタジオを竣工し、点在していたすべての拠点を統合した形で、2014年の「アニメーション制作50周年」を迎える形となった。
50周年のスローガンは「マダ、ナイ、コトヲ。」、これまでへの感謝とこれからへの挑戦をテーマに、新たな50年の生成につながるような今までになかった取り組みの推進強化を図るという。
記念事業として、7月13日までは杉並アニメーションミュージアムで、8月9日から10月5日までは川崎市市民ミュージアムで「トムス・エンタテインメント アニメと歩んだ50年展」を開催する。このほか、同社作品ゆかりの声優やゲストが次々と登場するWEBラジオ「マダ、ナイ、ラジヲ。」、8月2日19時からはアニメ専門チャンネル「アニマックス」で「TMS(トムス)アニメ50年のDNA」と題した26時間マラソン放送を実施する予定。
10月12日には長妻樹里さんが応援隊長を務める「感謝祭」をテーマとしたスペシャルイベント「トムスFes.」を開催、最新作や代表作にゆかりのある声優陣が多数よみうりホールに集結するステージイベントも。
同社経営企画室、50周年記念事業推進部長の千島守さんは「昨年スタジオができ、この場所に全部門や社員が集結して、根を下ろす本拠地を得ることができたと感じている。トムスのコンテンツは中野に限らずいろいろな人たちに楽しんでもらえるように制作しているが、本拠地を得たことで、名実ともに地元となった『中野』という街にトムスらしい形で何か貢献すべきと考え始めている。例えば小中学校の課外授業向けにアニメの制作現場を案内する社会科見学の実施や、キャラクター開発による地元フードや商品など、地元企業とのコラボレーションにも今後チャレンジしたい」と話す。
同社はここ数年で、オリジナルキャラクターなどを使ったネットサービス、独自のライセンス取得コンテンツなどにも力を入れており、地元「中野」への社会貢献的な動きにも今後注目する。