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中野の冬青ギャラリーで写真家・小林伸幸さん個展 「神を感じた場所」を千年後の人たちへ

小林伸幸さんの作品(プラチナ・パラジウム・プリント+細川紙) Copyright © Nobuyuki Kobayashi All Rights Reserved.

小林伸幸さんの作品(プラチナ・パラジウム・プリント+細川紙) Copyright © Nobuyuki Kobayashi All Rights Reserved.

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 中野の「ギャラリー冬青」(中野区中央5、TEL 03-3380-7123)で10月1日、写真家・小林伸幸さんの個展「『幽玄』自然の肖像~八百万の神々~」が始まった。

(関連フォト)「ギャラリー冬青」外観

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 小林さんは1970(昭和45)年、埼玉県横瀬町生まれ。1991(平成3)年、東京写真専門学校(現・東京ビジュアルアーツ)卒業後、編集プロダクションの専属カメラマンを経て1993(平成5)年に独立。広告、雑誌、PR誌、IRなどにおける人物撮影全般に携わり、場や被写体の雰囲気および空気感を生かした撮影を得意とし、雑誌編集経験に基づくイメージ構築と撮影ディレクションを売りとしている。2001(平成13)年よりニューヨークでファインアーツの基礎とオルタナティブプリント技法を学び、「八百万の神」を主題に細川紙(和紙)とプラチナプリントを高次元で融合させたファインアーツ制作を積極的に展開。2005(平成17)年からEU圏を中心に作品展開を試み、本格始動となった2014(平成26)年度の各国での個展開催に伴う観客動員数は1万5000人を記録。翌2015(平成27)年も5カ国8カ所で展示を行う。以後、定期的に作品発表を行い現在に至る。著書に「自然の肖像 ~八百万の神々~」「自然の肖像 ~幽玄~」がある。

 小林さんは「作品制作には、地球上で最も安定した金属であるプラチナを用いる。そして1300年もの長きにわたり変わらぬ製法のまま生産され続ける細川紙に印画を施す。その性質上、共に経年変化を起こさないため、この作品は1000年もの時を生き抜くと考えられている。これは言い換えれば、先人たちも見たであろう風景を、現代の私が見て歓喜し、千年後の人たちに渡すという行為。ただ本来であれば、作品ではなく自然そのものが残っていることが望ましいのは自明の理。しかしどうなるかは誰にも分からない。故に僕は作品を作る。1000年後の人たちが住む世界には、どうか今よりも豊かな自然が残っていてほしい。同じ対象を見て、僕よりもさらに歓喜してほしい。無力ではありながらも、そう思う。そうした切なる願いを込めながら、僕は作品制作を続けている」と言う。

 開廊時間は11時~19時。日曜・月曜・祝日休廊。10月30日まで。毎週木曜~土曜の13時~19時は小林さんが在廊する。

 同ギャラリーは、国内外含め多くの写真家の個展や、写真集の制作・販売・出版を手掛けている。代表の高橋国博さんは「冬青で個展を開くためには『人格が豊か』『テーマ性が特徴的』『作品が美しい』『自作である』『作品の言語化ができるか』などの点を作家と直接面接して決めている。ギャラリーは駅から遠く、交通の便が悪いため、本当に素晴らしい写真展でなければこの地までは来ない。そのために銀塩プリントのクオリティーの美しさにこだわっていて、デジタルプリントの写真は扱わない」と話す。

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