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東中野「東京演劇集団 風」が新作-ギリシャ悲劇「ヘカベ」王妃の内面描く

ヘカベ役の辻由美子さんと神々

ヘカベ役の辻由美子さんと神々

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 東中野の「レパートリーシアターKAZE」(中野区東中野1、TEL 03-3363-3265)で9月4日から、東京演劇集団風の新作公演「なぜ ヘカベ」が行われる。

ヘカベ役の辻由美子さん(左)とオデュッセウス役の酒井宗親さん

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 「なぜ ヘカベ」は、1956年にチャウシェスク政権下のルーマニアに生まれ、1987年にフランスに亡命、2009 年にはフランス作家協会(SACD)よりヨーロッパ賞を受賞した現代作家、マテイ・ヴィスニユックによる同劇団のための書き下ろし作品で、同劇団への書き下ろしは「ジャンヌ・ダルク ―ジャンヌと炎」(2008年)、「ニーナあるいは剥製のかもめの脆さについて」(2010年)に続いて3作目となる。

 演出は「ニーナ あるいは剥製のかもめの脆さについて」「戦場のような女あるいはボスニア紛争の戦場のような女の性について」などのマテイ・ヴィスニユック作品を手掛けてきた江原早哉香さん、「現実世界と対立する一人の女性の内奥の世界を描き、自らと他者が持つ生の力に訴えたい」という。

 ヘカベはトロイアの王妃として栄華を誇り、多くの子にも恵まれながら、ギリシャとの戦争によってその全てを失う。19 人の息子は戦乱に倒れ、自らは敵将の奴隷となり、生き残った最後の息子と美しい娘もまた、伝統としきたりの犠牲となって命を落とす。権力を争い、富を求め、あるいは復讐(ふくしゅう)に取りつかれて、勝者は敗者に、被害者はまた加害者となりながら、高い塔を築いては破壊を繰り返す人間たち。「もし全てが愛によって生まれたのだったら、どうしてこれほどの残酷さ、これほどの戦い、これほどの悲しみが存在するんだろうか?」。葛藤する「ヘカベ」の内面を描く。

 同劇場は同集団が1999年に建設した自前の劇場。同劇団は繰り返し同じ演目の上演を重ね、観客との対話の中で質の高い舞台を育てていくことを目的として、「レパートリーシステムの劇場」を掲げている。

 チケットは、大人(当日券)=4,000円、学生=3,300円。平日は19時開演、土曜・日曜は14時開演。前売り券の価格やチケット購入方法など、詳しくは同劇団オフィシャルサイトで確認できる。9月11日まで。

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