写真家・千葉桜洋さんと家族(妻・紀春さん、息子・洸さん)による作品展「ぐるり、めぐる」が9月16日、中野の「ギャラリー冬青」(中野区中央5、TEL 03-3380-7123)で始まった。
洋さんは1966(昭和41)年、ニューヨーク生まれ。生後11カ月の時、現地でかかった流行性耳下腺炎で聴覚障害となる。無数の写真と絵カードで言語を獲得。高校の時、登山とともに写真を撮り始める。現在は重度知的障害を伴う自閉症の息子・洸さんに付き添う傍ら、モノクロフィルムで撮影し暗室でのプリント制作活動を行う。出版物として「指先の羅針盤」(2018年、asterisk books)があるほか、個展は「指先の羅針盤」(2018年、銀座・大阪ニコンサロン)や「指先の羅針盤-馬頭へ-」(2019年、栃木県那珂川町盛泉ギャラリーやまと)を開いている。
今回は、父・洋さんが撮影した銀塩写真を中心に、母・紀春さんによる水彩画、息子・洸さんによるクレヨンドローイングを組み合わせた作品群を展示する。
廊主の野口奈央さんは「幼い頃、聴覚の大部分を失い、写真や絵によって徐々に言葉を習得した父・洋さんは、2000年ごろから家族との日々や散歩道、旅行先で、息子・洸さんが歩く姿や、ふと立ち止まって見つめる先を、静かに写している。展示作品にあるのは、父・母から息子へ一方的に向けられる視線だけではなく、息子の視線の先を一緒に見て、ときには立ち止まりながら、共に時間を過ごすことから作品は生まれている。言葉を介したコミュニケーションが当たり前とされる社会の中で、幼い頃に写真や絵を通して言葉を獲得した作家自身の経験とも重なりながら、言葉とは異なる方法で他者とつながり、理解し合う可能性を静かに問いかけている」と話す。
開催時間は11時~19時(木曜は22時まで)。9月21日・22日休廊。観覧無料。今月27日まで。今月16日18時30分からは洋さんと俳優・東ちづるさんと、同19日には元川崎市岡本美術館学芸員・仲野泰生さんと、それぞれトークイベントを多なう。要予約。