中野区在住の絵本作家・織田敦子さんの、公衆トイレ清掃員を主人公とした絵本「しずかなしごと」(みらいパブリッシング)が9月7日、ブックファースト中野店(中野区中野4)など中野区内の書店に並んだ。
(関連フォト)公衆トイレ清掃員の絵本「しずかなしごと」のワンシーン
制作のきっかけは、織田さんの娘の一言だったという。「これって、誰がやってるの?」と、娘が指さしていたのは公園の公衆トイレ。その何気ない問いをきっかけに、「毎日きれいな公園やトイレは、誰がどうやって支えているのだろう」と考えたことから、同書の制作が始まった。実際の公衆トイレ清掃の現場を取材する中で出会ったのは、誰にも気づかれない場所で、静かに誇りを持って働く清掃員の人々と、その仕事を支える掃除用具。織田さんは「公衆トイレ清掃員を入り口に、社会には見えないところで暮らしを支える仕事が数多くあることに目を向けるきっかけをつくれれば」と、絵本の制作を決めたという。
中野区内に本社を構える清掃業者・東京サニテイション(上高田5)に訪れたり、清掃現場に同行したりして取材を進め、現場で感じた「仕事への誇りや利用者への思いを大切にしている清掃員」を表現し、子どもたちが親しみやすい物語として描いた。登場するのは清掃員さんとスポンジくん、ほうきちゃん、モップちゃん、ぞうきんさん。伝えたいのは、「当たり前の景色の裏側にある『しごと』に気づくこと、社会や暮らしを支える人への敬意をはらうこと、身近なところから広がる「社会」への関心を持つこと、身近な景色を少し違った目で見つめること」と織田さん。作画は、はやしともみさんが務めた。
織田さんは「この絵本で描くのは、公衆トイレ清掃員だが、この絵本をきっかけに、子どもたちが公園のトイレだけではなく、荷物を届ける人、ごみを集める人、安全点検をする人、給食をつくる人、そして、家庭の中でも名もなき家事を積み重ねる人など、私たちの日常が、たくさんの『見えない誰か』によって支えられていることに自然と目を向けるようになったり、親子で会話してくれるようになったりすればと考えている。この絵本を通じて、『当たり前』の景色を少し違った目で見つめるきっかけとなることを願っている」と話す。
仕様はA5サイズ、オールカラー、全32ページ。価格は1,540円。